公開日:2023年7月4日
更新日:2023年7月11日
世界的感染症の拡大を受けて、人々は顔の半分をマスクで覆い隠すようになりました。
これにより、人々のパーソナリティやコミュニケーションのあり方にも大きな変化が見られています。
本展覧会では、札幌芸術の森美術館のコレクションから「マスク」をキーワードに、ヨーロッパのカーニバルに取材した竹岡羊子(1931- )の大型絵画と、アフリカ部族の儀式用仮面を展示いたします。
カーニバルにおいて仮面は、人々が自分の正体を隠し、身分や階級にしばられることなく、互いに匿名性を楽しむために用いられました。
竹岡羊子は、その非日常的で魅惑的なカーニバルの様子を、大胆な筆の運びと配色で鮮やかに描き出します。
アフリカ部族の儀式用仮面は、あの世からこの世へ来訪するものを表現しています。
その特異な造形は、アフリカの部族が信仰する、海や森の精霊そのものです。
人は古来、祭祀や演劇の場において、仮面の装着を通じて、別の人格になりきったり、あるいは、そこに真の人格を見つけようとしてきました。
世界中でこれまで様々な仮面が作られ、使われてきたのは、仮面が人格を揺さぶる不思議な力を持つためです。
一方で、目に見えない仮面もこの世には存在します。
「人は、相手や場に応じて、目に見えない仮面を着け替えている」というような言葉を耳にした経験はないでしょうか。
我々はいつも、他者に求められている「自己」を無意識に演じているのかもしれません。
作品もあなたも皆、仮面を着けた演者です。
夏の仮面舞踏会が今、開演します。
出品作品(予定)
- 竹岡羊子《華に寄せる想い》1991年、油彩・キャンヴァス
- 竹岡羊子《ピアノ、(ア・ン)》1995年、油彩・キャンヴァス
- 竹岡羊子《ヴェネツィアの光と影》2014年、油彩・キャンヴァス
- 竹岡羊子《微風・サンマルコ(ヴェネツィア)》2003年、油彩・キャンヴァス
- 竹岡羊子《Maniaの季節・カナル(Venezia)》2008年 油彩、キャンヴァス
- 竹岡羊子《佇む朱》2015年、油彩・キャンヴァス
- 《ドゴン族またはバンバラ族の仮面》制作年不詳、木
- 《プヌ族またはルンボ族の仮面》制作年不詳、木・白陶土
- 《プヌ族またはルンボ族の仮面“オキュイ”》制作年不詳、木・白陶土
- 《ソンゲ族の仮面“キフェベ”》制作年不詳、木・彩色・繊維 (植物性)
- 《ソンゲ族の仮面“キフェベ”》制作年不詳、木
- 《ソンゲ族の仮面“キフェベ”》制作年不詳、木・白陶土・彩色
- 《マコンデ族のヘルメット型仮面》制作年不詳、木
- 《マコンデ族のヘルメット型仮面》制作年不詳、木
(すべて札幌芸術の森美術館蔵、7~14は橋本信夫・邦江コレクション)