北海道の陶芸界をリードしつつ、伝統にとらわれない造形や、陶土の可能性をひらくインスタレーション作品に挑戦しつづける作家、下沢敏也(1960- )。「Re-birth」シリーズと名付けられた下沢の作品は、「風化から再生へ」と向かう生命の営みをテーマとしてきました。陶土で形作られるのは、時に朽ちゆく木々、あるいは再生する命を内に宿すかのような蓑虫、ぼろ布をまとう人間を思わせる生命の姿です。土には精妙な表情がつけられ、太古の昔から存在するかのような地層やひび割れが現れたり、さなぎを思わせるふくよかさをまとったり、その表現には確かな広がりがみられます。
18歳で陶芸の世界に本格的に足を踏み入れてから、やきものの地・信楽での研修、自らの陶房の設立を経て、1990年代以降は札幌、奈良、京都、東京など各地で個展を開催。すでにこの時から、その表現活動には二つの軸がありました――「うつわの仕事」と「前衛の仕事」。作家自身がこう呼ぶそれぞれの領域は、作家の制作人生において折々にその比重を交代させながら、しかし両者とも作家にとって不可欠なものでありつづけています。
本展では作陶の世界と、現代アートの世界とを縦横に行き来しながら作家が挑む、造形表現の「今」に迫ります。
数メートルの大きさに及ぶ土の造形で構成される下沢のインスタレーション作品からは、生命の果てゆく姿と、その残り火の中から再生しようとする兆しを、見てとることができるでしょう。
北海道の陶土を素材に独自の技法を探求する作家の世界を、どうぞご堪能ください。
前売券販売情報
販売期間:2025年7月5日(土)~9月12日(金)
販売場所:
・札幌芸術の森美術館
・札幌市民交流プラザチケットセンター
・教文プレイガイド
・道新プレイガイド
・大丸藤井セントラル(3階アートのフロア)