没後30年――風を彫った彫刻家・砂澤ビッキの大回顧展
北海道を代表する彫刻家・砂澤ビッキ(1931~1989年)の没後30年記念展を開催いたします。木という素材に向き合い続けたビッキは、木に宿る「樹氣(きき)」をあらわにすることに挑みました。そのなかで「風」のシリーズは、樹氣が力強く、躍動感ある形で表現されており、ビッキの自然への畏怖の念を体感させてくれるものです。また当館併設の野外美術館では、《四つの風》というビッキの大作が常設展示されています。設置から30年以上経過した本作は、彼の生前の意図を汲み、自然の成り行きに任せ、「風雪という名の鑿(のみ)」によって変化を続けています。本展では、「風」シリーズを中心とした彫刻作品とともに、これまでの《四つの風》の記録を写真や映像で展示し、自然が芸術に与える力を明らかにします。このほか、「絵描きとしてのビッキ」「カナダでの制作」「ビッキの遺したもの、そして没後の30年」など多彩なセクションを設け、当館がこれまで行ってきた研究・調査の成果を紹介し、新たな視点を加えながらビッキの功績を回顧していきます。
なお、本展は、札幌・北海道にゆかりある作家の作品によって構成する第12回目の「札幌美術展」として行うものです。
●イベント情報
学芸員によるギャラリーツアー
日時:5月3日(金・祝)、5月25日(土)、6月16日(日) 各回14:00~ 終了しました
*各回美術館展示室入口付近集合、40分程度、無料(ただし要観覧券)、予約不要
ギャラリートーク「阿部典英 砂澤ビッキとの25年」 終了しました
講師:阿部典英(美術家)
聞き手:佐藤友哉(札幌芸術の森美術館館長)
日時:5月18日(土) 14:00~15:00
会場:札幌芸術の森美術館展示室内
*無料(ただし要観覧券)、予約不要
「アベ、やめれ。木は塗るな」、とビッキは言った。――
作家仲間として25年にわたり砂澤ビッキと交友した美術家・阿部典英氏に、
青年時代から晩年に至るまでのビッキとの思い出を、スライドを交えて語っていただきます。
阿部典英(1939~)
札幌出身の美術家。札幌東高校卒業後、ゴム長靴の会社で長靴、スキー靴などのデザインに携わりながら、独学で作家活動を始める。
1961・62年、シェル美術賞展佳作賞。
1980年代には砂澤ビッキ主催の「樹を語り作品展」にたびたび出品。
現在に至るまで、木を含む日常のありふれた素材をいかした作品制作を精力的に続けている。
ギャラリートーク「酒井忠康 ビッキ没後30年、風雪の鑿あとを探る」 終了しました
講師:酒井忠康(世田谷美術館館長)
日時:6月9日(日) 14:00~15:00 (学芸員によるギャラリーツアーからの内容変更となりました)
会場:札幌芸術の森美術館展示室内
*無料(ただし要観覧券)、予約不要
砂澤ビッキは、飛んで行く?――
札幌芸術の森野外美術館の《四つの風》は、ビッキの没後30年経った現在でも、変化を続けています。
ビッキの作品は、今後どうなるのでしょうか。風に乗って飛んで行ってしまうのでしょうか。
野外美術館設立に立ち会った酒井忠康さんに、ビッキ没後30年のあゆみと、ビッキ作品の今後の展望について語っていただきます。
酒井忠康(1941~)
北海道余市町出身。神奈川県立近代美術館の学芸員として勤め、1992年同館館長。2004年より世田谷美術館館長。
札幌芸術の森野外美術館設立時に専門委員として立ち会う。ビッキ関係の評論も多数手がけている。
●グッズ紹介
展覧会公式図録
そのほか、ビッキ関連書籍、ポストカード、クリアファイル等を取り揃えております。