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06 定山渓かっぱ巡礼

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札幌中心部から、バスに揺られること小一時間。
『かっぱ祭り』でも知られる札幌の奥座敷、定山渓温泉はかっぱ伝説が残る街。
しかもこの街のあちこちには、数多くの愛らしい「かっぱ像」が点在している。

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札幌駅からバスで1時間少々という小旅行に備え、少し早めにターミナルに向かう。定山渓には道内外の彫刻家が観光協会の依頼を受けて制作した、かっぱの像がたくさんあるという。作家たちがユーモアたっぷりに表現したそれらをぜひ見てまわりたい。

定山渓神社前でバスを降り、見返り坂を下りていくと、湯の滝で湯の恩恵を受けているのが『Why are you looking』①。なんとまあこの場所に溶けこんでいること!きっと多くの観光客が彼をファインダーにおさめたことだろう…と思いつつ、私もパチリ。

温泉まんじゅうののぼりに気をとられながら、豊平川にかかる月見橋へ向かうと、途中右手には足湯を楽しめる「定山源泉公園」が。ここには定山渓温泉を拓いた僧、美泉定山の像が湯けむりと共に鎮座している。月見橋の下流側にあるのが『ボクと記念写真』②。彼の手足は、ちょうど顔ハメ看板のようになっている。試しに覗いてみると、向こうに『ミスジョウザンケイカッパ』③の姿が。作家たちの遊び心を感じる計らいだ。せっかくなので、豊平川にグッと近づき二見公園へ。涼やかな清流を背に、岩の上で遊ぶ『ころんころん』④。鮮やかな赤が緑に映える二見吊橋を渡りきると、橋のたもとには『アー・イタイタ』⑤の姿が。四角い部屋の中で台座に乗った彫刻と違い、自然の風景になじむ彼らの姿はなんとも生き生きして見える。

渓流沿いを戻り、再び温泉街へ。岩戸観音堂前には、とぼけた表情が愛らしい『ヨシヤルゾカッパ』⑥が待っていた。となりの「足つぼの湯」でひと休みしたら、かんのん坂をゆっくり上り、道なりに進むと左手にあるのが三笠緑地。ここでは今にも声が聴こえてきそうな『唄う河童』⑦が出迎えてくれた。

さて、今日は歩きやすい靴を選んできたことだし、定山渓ダム方面まで足を伸ばしてみたい。森林浴と渓流の絶景を楽しみながら20分ほど歩くと、定山渓ダム下流園地では『おかっぱ』⑧『洗い髪』⑨の個性豊かな河童たちが出迎えてくれた。少し山の中に入って行くだけで、この街がいかに豊かな自然に包まれているかがよくわかる。温泉街への帰路、錦台公園で『ボー』⑩を、定山渓大橋公園で『みーつけ』⑪を愛でたら、最後のシメとして、定山渓大橋『緑の女神』⑫像へ。この豊かな谷間の景色に、彼女たちの伸びやかな姿はよく似合う。決して大きな街ではないのに、実にさまざまな表情を見せてくれる、定山渓はそんな場所だ。帰りのバスの中で気づいたのだが、定山渓にいる間、私は幾度となく空を見ていた。谷間にいると、人は空を見るのかもしれないな…というのは、愛すべきかっぱ達をめぐる小さな旅で気づいた、もうひとつのこと。

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写真をクリックすると作品詳細を確認できます。
  1. 01 Why are you looking/丸山隆/南)定山渓温泉東3 湯の滝
  2. 02 ポクと記念写真/小石巧/南)定山渓温泉西4 月見橋下流側
  3. 03 ミスジョウザンケイカッパ/阿部典英/南)定山渓温泉西4 月見橋上流側
  4. 04 ころんころん/永野光一/南)定山渓温泉西4 二見公園河畔園地
  5. 05 アー・イタイタ/阿部典英/南)定山渓温泉西4 散策路・二見吊橋側
  6. 06 ヨシヤルゾカッパ/阿部典英/南)定山渓温泉西3 岩戸観音堂前
  7. 07 唄う河童/小石巧/南)定山渓温泉西3 三笠緑地
  8. 08 おかっぱ/丸山隆/南)定山渓8 定山渓ダム下流園地
  9. 09 洗い髪/永野光一/南)定山渓8 定山渓ダム下流園地
  10. 10 ボー/丸山隆/南)定山渓温泉西1 定山渓錦台公園
  11. 11 みーつけ/永野光一/南)定山渓温泉西3 定山渓大橋公園
  12. 12 緑の女神(一対)/高橋剛/南)定山渓温泉西2~3 定山渓大橋中央部両側
  13. ※冬期間には積雪などにより鑑賞できない像もあります。
    ※定山渓ダム下流園地の開園は5月中旬~10月末(9:00~16:00)まで。
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