地下鉄南北線の南端駅となる真駒内駅に降り立った。駅を出ると沿道を緑が覆い、その奥に五輪選手宿舎として建設された五輪団地が並ぶ。それらを背に駅正面に石の台座に乗った円形の彫刻作品『ひとやすみする輪廻』①がある。作品名にある“ひとやすみする”というフレーズが、なんともハマリのよい優しい印象を受ける作品だ。
五輪団地を横目に駅前の通りを直進。突き当たりT字路の手前左手に見えてくるスーパーの横に、平成13年に第10回札幌市都市景観賞に認定された真駒内用水がある。この脇にある散策路を抜けると、目の前がエドウィン・ダン記念公園(旧真駒内中央公園)だ。ここには、北海道酪農の父『エドウィン・ダン像』②があり、公園内には彼の記念館が併設されている。像の六角形の台座には北海道開拓期のレリーフが刻まれており、開拓史に思いを馳せながら“ひとやすみ”もいい。このあと真駒内公園に向かうのだが、ここでも緑あふれる道を行きたいと、真駒内川沿いのサイクリングロードへ。一歩足を踏み入れると、緑の香りとせせらぎの音が心地良く、ここが地下鉄沿線だということを忘れてしまうほど。目指すは、冬季オリンピックを記念して真駒内公園に造られた彫刻群だ。
五輪のシンボルとして建てられた、天に延びる長い傾斜を持つ台座上の『雪華の像』③。そして五輪大橋・五輪小橋の欄干には、札幌にゆかりの4作家によって制作された『飛翔』④(一対)、『花束』⑤(一対)、『栄光』⑥(一対)、『えぞ鹿』⑦、『雪娘』⑧が並び立つ。交流の深い4作家が一堂に会し、それぞれのスタイルで制作された作品群は、非常に見ごたえがある。
並木が美しい五輪通を東に向かい信号を左折、しばらく行くと右手に交番が見えてくる。そこに隣接する真駒内第一公園に、仔牛と戯れながら野をかける少年の彫刻『牛と少年』⑨があり、その銘文では真駒内地区の成り立ちを知ることもできる。この後はバスに乗って駅に向かうもよし、徒歩で真駒内各所に点在する公園緑地を巡るという手もあり、はたまた石山緑地や札幌芸術の森まで足をのばして、彫刻巡りの続きを楽しむのもいいかもしれない。真駒内周辺は自転車道が比較的整備されているので、機会があればサイクリングでの彫刻巡りもお勧めだ。