札幌のランドマークとして、あるいはショッピングやレジャースポットとしてすっかりおなじみとなったJRタワー周辺には、多くのアート作品が点在していることをご存じだろうか。待ち合わせ場所や目印としての"機能"があったり、ともに作品を作り上げる参加性があったり。人と作品、人と人が"関わるアート"をこのたび楽しんでみる。
地下鉄を降りてJR札幌駅へ向かってまず最初に目に飛び込んでくるのが『妙夢』①。大きな穴を子どもがくぐって遊んだりしている。南口の外には『花降る石』②があり、その名の通り石に真鍮などの花びらが埋まっているかわいらしさのある作品だ。 そのまま東コンコースにある『Legs“旅人の残像”』③へ向かう。地元の人も旅行者も歩き、駆け抜ける“駅”という場所を象徴するこの作品。「アシのところで」という待ち合わせ、実はよく使っている。そして『北北東の風II』④を見にホテル日航札幌へ行った。そこで感じたのが、これまで見てきた4作品はどれも丸や四角のフォルムだということ。そういう見方もあるかもしれない。頭の片隅に置きながら、次の場所へ向かうことにした。
イーストのエレベーターで6階まで一気に上り、東モールへ向かう。駐車場の出入り口がある通路にあるのは『コインズ』⑤。 ゼ二ガタアザラシ、シマフクロウなど絶滅、または絶滅の恐れがある動物が描かれ、それぞれの作品にはコインを入れる切れ目が付いている。コインは作品の一部になり、のちに野生動物基金となる。次に展望室への受付にある『ランドウェーブ』、7階の札幌シネマフロンティアの『映画神像 北海道』⑥と巡り、大丸6階のエスカレーターの方へ向かうと『To the Future 未来へ…』⑦がある。ここは吹き抜けの天井からの光が心地よい、知る人ぞ知るくつろぎのスポットだ。
そしてJRタワーに来たなら、38階の展望室は外せない。ここでは、日中は自然光で、夜は美しくライトアップされた『山河風光』⑧を鑑賞できる。光と共に刻々と印象を変えるその姿は、北海道の自然そのものを思わせる。JRタワーは積極的にアートによるコミュニケーションを図っている。見るだけではなく参加する楽しみはこれからも広がっていくようだ。