西線14条電停で市電を降り一本東側の小路を入る。コンクリート3階建ての建物に、それだと分からなければ見過ごしてしまいそうな小さな看板が掛かっている。2003年にオープンした『本田明二ギャラリー』は、北海道の風土に根づいた作品を数多く制作し、1989年にこの世を去った彫刻家・本田明二の遺族が運営する私設ギャラリー。このギャラリーは、本田の作品を通して、数多くの方々とともに北海道芸術を育む場としていきたいという遺族の思いから、無料で開放されている。
本田は『けものを背負う男』に代表されるように、素朴ながらも野性味あふれる作品で知られ、野外彫刻も道内各地に設置されている。また、北海道ならではの道産子馬やふくろうなどをモチーフにした作品も多く手掛けている。「もし北海道的というものがあるとすれば、それは意識して出てきたものではない。半年間の雪との闘いの中から自然とにじみでてきたものである」と、生前語っていた本田の息吹は現在この地に根づき、多くの市民や芸術家との交流・協働というかたちで広がりをみせようとしている。