日本の彫刻界をリードし、北は稚内から南は鹿児島まで全国各地に81点もの野外彫刻作品を残した彫刻家・本郷新。札幌で生まれ育った彼は、亡くなる前年の1979年に北海道知事と札幌市長宛に文書を送っている。その中には、宮の森にある自分のアトリエを一般愛好者に開放し、美術文化に貢献する目的で、土地・建物および全作品とコレクションを寄贈したいという決意が書かれていた。その遺志を継ぎ1980年にアトリエは『本郷新記念館』として公開され、翌年には記念館の向いに北海道では初となる彫刻専門の美術館『札幌彫刻美術館』が開館することとなった。
記念館内には、石こう原型・制作道具・油絵やデッサンなどのほか、パブロ・ピカソの作品をはじめとする本郷のコレクションも収蔵・展示されている。野外では高い位置にある彫刻作品も、ここではその石こう原型によって、作品の豊かな表情を間近かで見ることができる。前庭に彫刻庭園が設けられた本館では、本郷の作品展示のほか企画展も開催されている。