ブラックライトで顔面蒼白

問題制作のため、担当者で幾度も野外美術館内を散策しました。職員自ら問題を制作する利点として、野外美術館に何度も通えることが挙げられます。ここ札幌芸術の森の野外美術館でしか行えないオリジナリティある問題内容にしたかったため、可能な限り野外美術館にある彫刻たちの位置や地理関係を問題に組み込むように工夫しました。恥ずかしながら、企画の担当者も、芸森職員でありながら今回はじめて気づいた物事が多くあります。参加者様の中にも、謎解きをしながら野外美術館をまわることで普段よりもよく彫刻作品を見た、とおっしゃってくれる方もいらっしゃいました。同様に感じられた方が他にもいらっしゃれば幸いです。

 

_dsc8671

ブラックライトにかざしたカンバッジ(HARD参加特典)

img_8669

カンバッジ製作体験用のカンバッジマシン

   

HARDコースではブラックライトを用いたトリックが登場します。このアイデアは企画の初期段階からありました。HARDコースの参加記念品であるカンバッジにブラックライトインクで文字を刻印しておき、特定の場所でブラックライトに照らせば、文字が読み取れるという段取りです。カンバッジは芸森にあるカンバッジ体験用の機械を用いて1つずつ手作りで製作。ブラックライト文字を刻印するためのハンコは、芸森の版画工房専任職員が消しゴムで作成したものを用いました。四季の集客イベント時など、期間限定で消しゴムハンコのワークショップを開催することもございます。機会がございましたら是非一度版画工房をお訪ねください。

 

さて、このブラックライトの仕掛けですが、企画段階で忘れられないトラブルがありました。室内実験では計画通り、ブラックライトを当てたときだけ文字が浮かび上がり、準備は順調と判断しておりました。しかし、開催2週間前、実際に野外美術館内で実地テストをした際、屋外ならどこでも刻印した文字が薄っすら浮かびあがったのです。これは太陽光に含まれる紫外線に反応しているものと推測できました。光った文字は、好意的に見ても文字として読み取れるレベル。繰り返しですが、この時点で開催2週間前でした。カンバッジを目の前にして顔から血の気が引いたのを今でもはっきり覚えています!至急、カンバッジに改良を加えることとし、生産性と安定性が高く、かつ、太陽光の下では読み取れないがブラックライトを当てれば読み取れる方法を試験しました。具体的な解決策の公開はいたしかねますが、中には『日焼け止めクリームを塗る』という方法まで試しました(意外にも若干の効果は認められましたが、作業性も悪く、安定性もないので却下しました)。無事、最適な対策を見つけることができ、実際に参加記念品として配布されたカンバッジは太陽光下で文字が光ることはなかったかと存じます。夏休みを前に、子どもたちよりも一足早く1つの自由研究を終わらせてしまいました。

 

dsc_0573

版画工房職員が製作した『芸森』ハンコ

_dsc8556

太陽光のトラブルを無事乗り越えた完成版カンバッジ

 

 

前へ    次へ

 

 

 

アーカイブトップページ

 

謎解き野外美術館シリーズ特設サイト

 

芸術の森トップページ