この度の【復刻版】はオリジナル版である2018年夏の『隠された庭からの脱出』と全く同内容とすることも可能でしたが、結果的に多くの追加・変更を施しました。それは、2018年度は時間の制約上、実現を断念した要素がいくつかあったからです。
オリジナル版にはなかった彫刻作品解説『彫刻たちの実話』
もっとも実現したかったもののひとつは、芸術の森学芸員が執筆するオリジナル彫刻作品解説『彫刻たちの実話』。野外美術館の魅力を幅広い方々にお伝えする目的を実現するうえで、謎解きを楽しんだあとに、ほんのちょっぴり彫刻作品そのものの魅力を感じて欲しかったために考案した企画です。謎解き後にご一読いただき、アートと謎解きの両方をお楽しみいただいた方がいらっしゃれば幸いです。
左上:おまもり(旧)、左下:おまもり(新)、右:キット製作を担ってくれた職員
謎解きイベントの重要な要素である、問題やストーリーにも手を加えました。EASYでは、いなくなった彫刻を探すことになるきっかけをより具体化するため、ストーリーの導入部を補完。またアイテムの「おまもり」があまりおまもりに見えなかった点を改善しました。おまもりを含むキット作成は昨年夏も含め職員による手作りです。そのため製作工程も可能な限り簡素化しておりましたが、予想を大きく上回る参加者に恵まれ、キットの増産には嬉しくも、予定以上の時間を要しました。
左:選択式の最後の問題、右上:望遠鏡の仕掛け(旧)、右下:望遠鏡の仕掛け(新)
他にも、おまもりを開いたあとに使用するガチャガチャを2台に分け、最後の問題の難易度を参加者が選べるようにしたり、途中の望遠鏡を覗く仕掛けは、昨夏は擬似的な体験にとどまりましたが、復刻版では本物の望遠鏡を使用できるように変更しました。
NORMALの総合ヒントが追加された《ポートランディア》
難易度が高かったNORMALは、まず総合ヒント冊子とスマートフォンなどで閲覧できるヒントサイトを追加しました。これにより、問題解答に行き詰っても、ヒントをたよりにクリアまで進みやすくいたしました。また、問題構成そのものも大幅に手を加え、複数の謎を解かなければ解答にたどりつかない問題を細分化し、取り組みやすく構成しなおしました。
難易度の調整とは異なりますが、同時開催していた『札幌美術展 砂澤ビッキ-風-』の開催を記念し、野外美術館のビッキの作品《四つの風》を通るように、一部問題を差し替えました。
最後に、オリジナル版ではクリア率が2.5%だったHARDは、ささやかなヒントを園内に追加。昨夏に断念した方ももう一度チャレンジいただけるよう工夫するとともに、一部のヒントは見つけることそのものを極めて高い難易度とし、HARDクリア後でも、『隠しヒントのコンプリート』をお楽しみいただけるようにすることで、まだまだ難しい問題にチャレンジしたい参加者の期待にもこたえられるように配慮いたしました。ヒントの追加による影響か、この復刻版でのクリア率は12%にまで上昇いたしました。
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