FINAL CHAPTER
幻 と 影
E N D I N G
シャドウの隠れ家を出ると、《門》のそばにシャドウが立っていた。
キミたちは、恐る恐るシャドウのそばに歩み寄った。ベエがシャドウに声をかける。
「シャドウがこの世界にきたのは、ファントムを復活させるためではなく、ファントムを完全に封印するためだったんだね…。」
シャドウは無言のまま立っている。ただ、不思議と警戒心は持たなかった。キミは仮面の破片をシャドウに手渡す。
シャドウは破片を黙ったまま受け取り、こちらの顔を見ながら小さく頷いた。礼を言ってくれたようだった。手渡した仮面は黒く染まり、ファントムの鼓動も眠るように小さくなった。
シャドウは突如、黒いマントを翻し、羽を散らして宙をまった。そして赤く染まった空をぐるっと一周すると、そのまま《門》に飛び込み、仮面と共に隠された庭から去っていった。
「ところでさ、ベエが流星のかけらに願おうとしてたことって何だったの?」
キミがベエに尋ねる。ベエは少し恥ずかしそうに答える。
「隠された庭がずっと平和であり続ける事、なんてちょっと大げさかな?」
この会話で気づくベエとキミ。シャドウが現れ、依然この世界に潜んでいたファントムの脅威から救ってくれたのは、流星のかけらがベエのこの願いをくみ取ったからかもしれない。
突然響き渡ったドーンという音。振り返ると、大きな花火が打ち上げられていた。
間もなく遠くから歓声が上がる。彫刻祭が穏やかに続いている。
「さ!せっかくこの世界に来たんだから、彫刻祭を最後まで楽しんでから帰ってよ!」
ベエはもう走り出している。キミは《門》に振り返った。そこにもうシャドウはいない。仮面を渡したとき、少しだけ心が通じた気がしたキミは、ちょっぴり寂しい気持ちになった。
そして新たな友情を胸に、キミはベエと共に彫刻のみんなの元に向かった。
F I N